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業況は一段と悪化、全社挙げて危機突破を 調査データ・資料
業況は一段と悪化、全社挙げて危機突破を〜北海道地域景況調査結果(2008年4〜6月期)の概要と対応〜
 北海道中小企業家同友会の北海道地域景況調査結果(2008年4〜6月期)が、このほどまとまりました。業況判断DI(「好転の割合」―「悪化の割合」)全業種合計は、前年同期比マイナス44.7と過去6年で最悪を記録(第1表参照)。原油・原材料価格の高騰が中小企業に一段と深刻な影響を与えている実態が明らかになりました。(文責西谷博明)

製造業の悪化が目立つ 〜全業種で利益確保が困難に〜

 業況判断DIは建設業がマイナス60.8と最も悪いものの、前期(2008年1〜3月)との比較では製造業の悪化が顕著です。製造業は前期のマイナス32.5から今期のマイナス51.0とマイナス幅を18.5ポイントも拡大、その悪化ぶりは突出しています。
 製造業の仕入単価DI(「上昇の割合」―「下降の割合」)は、94と最も高い一方、販売単価DIが前期の6.8から今期の4.0へと悪化した唯一の業種となっています(4面第5表参照)。「原材料価格上昇のスピードに、販売価格が追いつかない」のが、中小製造業の実態です。
 全業種合計の売上高DI(「増加の割合」―「減少の割合」)は、前期より5.1ポイントの悪化、経常利益DIはさらに厳しく7.2ポイントの悪化となっています(4面第2表3表参照)。利益確保がより難しくなっている背景に、消費者の生活防衛意識の強まりがあるとの見方もあります。「売上は10%伸びたが利益は10分の1に減った」と語る食品製造業者の声は、原油・原材料価格高騰と消費者の生活防衛の強まりに苦しむ中小企業の厳しさを代弁しています。

新規開拓・付加価値アップ・経費節減で難局を突破〜公的な支援を求める声も〜

 「経営上の力点」のベストスリーは、@新規受注(顧客)の確保、A付加価値の増大、B人件費以外の経費節減となっています。「情報力を強化し、ビジネスチャンスを掴み、従来の卸会社の機能だけではなく商社としての機能を充実させたい」(青果卸)「既存市場に新製品を拡販する企画を考えている」(鋼製建具製造)「新しいステーキ弁当の開発で付加価値を高めた」(持ち帰り弁当)「元来の材料販売中心のビジネスモデルから工事絡みの営業に移行し、専門工事業の当社得意先と新しい協同関係を築く」(スチール製品販売)など、積極的な対応策を進めている会員企業も少なくありません。
 一方、「原材料価格の上昇分を販売価格に転嫁出来ない中小零細企業は、低収益を強いられ体力も限界に近づいている」(印刷業)「地方の建設業は将来展望がまったく見えない。今こそ政治家が何とかせねば、不幸者が多くなり戦争が起こる」など、なんらかの公的な支援策を求める切実な声も寄せられています。

金融対策を万全に、ニーズを深く捉えて新たな可能性を切り拓こう

 資金繰りDI(「余裕の割合」―「窮屈の割合」)をみると、前期のマイナス1.1から今期のマイナス5.5へと悪化しています(4面第4表参照)。「建設業は官需の改善は望めそうもなく、民需を掘り起こそうとしているが、銀行は貸し出しを渋る」という記述もありました。サブプライムローン問題の影響も考慮すると、金融情勢は大きく変化する恐れもあり万全の対策が望まれます。
 「消費者が生活防衛を強めていることは、新しいビジネスチャンスでもある。生活応援商品の開発に力を入れたい」(身の回り品卸業)「食の安全・安心志向や環境への配慮が強まっていることから、最近、思い切って衛生的でリサイクルを徹底した新工場を建てた。今年になってから食品関連の見学者が相次ぎ、新規受注もいただいた」(包装資材製造業)など、情勢の変化を深読みし、先手で対応する会員企業もあります。かつてなく複雑で厳しい情勢ですが、同友会での学びを深め、全社を挙げて危機突破に挑戦したいものです。

〈調査要領〉
調査時点 中小企業家同友会全国協議会が2008年の6月5日〜15日に実施した景況調査に合わせておこなった。
調査対象と回答企業 全国では2,378社から1,007社の回答、北海道は地域・業種を勘案して抽出した600社の会員企業から221社の回答を得た。
平均従業員数(役員含む・パートを除く) 全国39.3人 全道39.8人
※DI値は特に断りのない限り前年同期比。▲はマイナスを示す。
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