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業況さらに悪化の兆し、早めの資金手当で難局突破の体制づくりを 調査データ・資料
業況さらに悪化の兆し、早めの資金手当で難局突破の体制づくりを〜北海道地域景況調査結果(08年10〜12月期)の概要と対応〜
 北海道中小企業家同友会の北海道地域景況調査結果(08年10〜12月期)が、このほどまとまりました(12月1日〜10日回答分)。
6年ぶりに全国が北海道を下回る

 業況判断DI(「好転の割合」―「悪化の割合」)全業種合計は、前年同期比マイナス45.5と前期(08年7〜9月期)のマイナス42.6より悪化しています(図参照)。09年1月〜3月期見通し(本紙4面第1表)では、マイナス54.5とさらに厳しくなる気配です。ただ、6年振りに全国が北海道より悪くなっており注目されます。1次産業の比率が高い北海道に比べて、輸出依存型地域の落ち込みの激しさが伺われます。なお、今回の調査の主なデータは本紙4面に掲載しています。

流通・商業、サービス業の悪化が目立つ〜建設業、製造業は前期よりやや好転〜

 業況判断DI(4面第1表)は、流通・商業が前期より8.8ポイント悪化のマイナス45.0、サービス業がマイナス63.0と前期より13ポイントも悪化しています。反面、建設業が前期より1.2ポイント、製造業は6.8ポイントも好転しています。これらの業種で「好転」と回答した企業をみると、前年同期比「売上増」「販売単価上昇」「経常利益増」との回答が目立ち、仕入単価の上昇を販売単価にある程度転嫁できたことが「好転」の要因のようです。
 しかし、業況判断DIの09年1月〜3月期見通しでは、すべての業種で悪化しており予断を許しません。

「利益重視」の傾向が顕著に

 全業種合計の売上高DI(「増加の割合」―「減少の割合」)は、今期(10〜12月期)がマイナス31.5と前期より3.9ポイント悪化、逆に経常利益DIは5ポイント改善しています(第2表第3表参照)。
 さらに、全業種合計仕入単価DI(「上昇の割合」―「下降の割合」)は、今期が前期より20.8ポイント、販売単価DI(「上昇の割合」―「下降の割合」)も前期より16.5ポイント下がり、販売単価より仕入単価の下降が目立ちます(第5表参照)。需要低迷の中で、売上よりも利益を重視する傾向が伺われます。

営業戦略見直し、新規事業開拓、1次産業連携を重視〜早めの資金手当と人材力を高めて難局突破を〜

 かつてない厳しい経営環境を、会員企業はいかに乗り切ろうとしているのでしょうか。
 第1に、営業戦略を見直し、自社の強み、特徴を活かすことです。「営業戦略を見直し、売れる分野の特化を目指す」(地下タンク製造)「ここ数年は道内外の機械設計受注に重点を置き、営業努力をする」(建築、機械設計)などの声が寄せられています。
 第2に、新商品・新規事業の開拓です。「環境・福祉機器の新商品販売に力を入れたい」(事務器等の販売)「新規事業分野(福祉用品販売、レンタル)の充実に注力」(建設資材製造販売)など新商品、新分野、新市場開拓に果敢に挑戦する企業が目立ちました。
 第3に、農業などの1次産業との連携をはかることです。「新規事業として土づくりに取り組み、屋上緑化などを進めたい」(建設業)「既存事業のみでは縮小の一途を辿るため、自治体と連携を取りながら、生活産業の創出と基幹産業である農業再生を目的とした協議会を立ち上げ事業構築を進めている」(食品流通業)など、地域の特性を生かした取り組みも出てきています。
 第4表の資金繰りDI(「余裕の割合」―「窮屈の割合」)を見ると、前期のマイナス5.9から今期のマイナス9.9と4ポイントも悪化。金融情勢は厳しくなっていることが伺われます。「緊急保証制度」などを活用し早めに資金手当をしながら、優れた人材の確保と社員の力量アップで難局突破をはかりたいものです。

〈調査要領〉
調査時点 中小企業家同友会全国協議会が2008年の12月1日〜10日に実施した景況調査に合わせておこなった。
調査対象と回答企業 全国では2,453社から1,045社の回答、北海道は地域・業種を勘案して抽出した600社の会員企業から205社の回答を得た。
平均従業員数(役員含む・パートを除く) 全国37.8人 全道38.5人
※DI値は特に断りのない限り前年同期比。▲はマイナスを示す。

※参考

○DOR業況判断DIの推移(全業種、前年同期比)
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