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利益確保さらに困難に、万全な金融対策を 調査データ・資料
利益確保さらに困難に、万全な金融対策を〜北海道地域景況調査結果(2008年7〜9月期)の概要と対応〜
 北海道中小企業家同友会の北海道地域景況調査結果(2008年7〜9月期)が、このほどまとまりました(9月5日〜20日回答分)。業況判断DI(「好転の割合」―「悪化の割合」)全業種合計は、前年同期比マイナス42.6と前期(2008年4〜6月期)のマイナス44.7より若干改善しています。(第1表参照)。しかし、アメリカ発の金融危機が顕在化する前の回答が多く、実態はもっと厳しいものと思われます。10月〜12月期見通しでは、マイナス44.9と過去6年で最悪になる気配です。なお、今回の調査の主なデータは本紙4面に掲載しています。

サービス業の悪化が目立つ〜全業種経常利益DIは大幅に悪化〜

 業況判断DIは、サービス業がマイナス50.0と前期より5.5ポイント悪化、流通・商業が前期のマイナス31.8から4.4ポイント悪化のマイナス36.2となっています。一方、建設業は、住宅建設関連業の好転により前期に比べて10.8ポイント改善しています。これは、昨年同時期に改正建築基準法の影響で落ち込んだ住宅建設が正常な状態に戻りつつあるという特殊要因によるものです。製造業も、10.2ポイント改善していますが、仕入単価が落ち着いてきたことと、販売単価への価格転嫁が一定程度すすんだためと思われます。しかし、DI値は建設業マイナス50.0、製造業マイナス40.8と依然厳しい状況にあり、次期見通しではいずれも今期より悪化すると予想しており、楽観を許しません(4面第1表第5表参照)。
 全業種合計の売上高DI(「増加の割合」―「減少の割合」)は、前期より6.5ポイント改善、逆に経常利益DIは5.8ポイントの悪化となっています(4面第2表3表参照)。とりわけサービス業の経常利益DIは、前期より27.3ポイントも悪化し、マイナス60.6と最も厳しい業種になっています。特に飲食業の悪化が目立ちました。

仕入先の見直し、省エネ、生産性向上、社員のレベルアップで活路を拓く

 「経営上の問題点」では、(1)仕入単価の上昇、(2)価格競争の激化、(3)民間需要の停滞が多くなっています。「仕入れ先を見直し、中国及び国内の仕入れ先の一部を東南アジアに振り分ける」(生活雑貨小売)「省エネ関連機器の検討、研究により、可能性があれば商材として導入したい」(建設業)「諸経費を削減し、機械化を進めて生産性の向上を目指す」(食品製造業)「従業員のモチベーションのアップを図るため、労使関係を見つめ直し、良好な労使関係を築き乗り切ることに全力」(リサイクル業)など、経営環境の厳しさを逆手にとって新たな可能性に挑戦する会員企業も少なからずあります。
 また、「国土交通省により、燃料サーチャージ制が導入されたが、荷主に法的拘束力はなく、荷主との合意が前提であり難航している」(運輸業)「資材関係の値上がり等で原価率が上昇、利幅が下がり厳しい経営となった。中小企業への緊急融資を即実施してほしい」(青果物卸)「構造改革なるものの競争社会が、果たして人間社会形成上有意義なものか疑問に感じる」(建築資材販売)など、政策的な対応を求める声も寄せられています。

債権管理、金融対策を万全に、攻めの経営で現状の打開を

 「不良債権発生の防止に最も力を入れている」(建築資材卸)という記述が目につき、債権管理重視の傾向が強まっています。国際的な金融危機の深化により、金融機関の融資姿勢が一層厳しくなることも予想されます。実際、資金繰りDI(「余裕の割合」―「窮屈の割合」)は、今期もマイナス5.9と厳しい状況が続いています(4面第4表参照)。
 「経営体力のあるうちに、新商品の開発や新事業に挑戦したい」と経営指針づくりに取り組む会員企業もあります。債権管理、金融対策に万全の体制をとりながら、新製品開発、新市場開拓など攻めの経営で現状を打開したいものです。

〈調査要領〉
調査時点 中小企業家同友会全国協議会が2008年の9月5日〜20日に実施した景況調査に合わせておこなった。
調査対象と回答企業 全国では2,374社から1,008社の回答、北海道は地域・業種を勘案して抽出した600社の会員企業から228社の回答を得た。
平均従業員数(役員含む・パートを除く) 全国37.3人 全道42.0人
※DI値は特に断りのない限り前年同期比。▲はマイナスを示す。
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