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業況は一段と厳しく、建設業、流通商業の悪化が目立つ 調査データ・資料
業況は一段と厳しく、建設業、流通商業の悪化が目立つ〜北海道地域景況調査(2007年10〜12月期)概要と経営上の力点〜
1.業況は、全国に比べて大幅に悪化

 第1表の業況判断DI(「好転の割合」−「悪化の割合」)の2007年10〜12月期は、北海道全業種合計で7〜9月期(前期)の▲18.3から▲35.5へ17.2ポイントも悪化し、全国の4.3ポイント悪化に比べても、その悪化ぶりは際立っています。特に製造業(▲3.9→▲22.8)、流通・商業(▲9.3→▲38.1)の悪化が目立ちます。建設業は前期から9ポイント悪化し、▲47.6となりました。
 第2表の売上高DI(「増加の割合」−「減少の割合」)でも、北海道全業種合計が前期に比べて7ポイントの悪化したのに対し、製造業は8.1ポイント、流通・商業は13.4ポイントも悪化。一方、第3表の経常利益DI(「増加の割合」−「減少の割合」)は、製造業が10.9ポイント悪化、流通・商業は17.5ポイントも悪化しており、売上高よりも利益の悪化が目立ちます。経常利益DI値の悪さは、建設業(▲53.6)、サービス業(▲45.8)が群を抜いており、厳しさは一層深刻です。
 第4表の(1)仕入単価DI(「上昇の割合」−「下降の割合」)の全業種合計は前期より5.6ポイント増え59.2なのに対し、製造業では84.7とかってないほど高い数値となっています。また、第4表の(2)販売単価DI(「上昇の割合」−「下降の割合」)の全業種合計が前期より6ポイント上がって▲12.0となったのは、製造業、流通・商業の仕入単価の上昇が激しく、何とか販売単価を転嫁しないとやっていけないためと思われます。しかし、上昇分を転嫁しきれているとは言えませんし、「原材料の値上げを何とかしてほしい」という声や、経営上の問題点としても「仕入単価の上昇」という回答が連続して増えており、今後の影響が心配されます。

2.新規事業と社員教育に活路を探る〜「経営上の力点」のコメントから〜

 「民間需要の掘り起こしに取り組むもあまり結果が出なかった。それに変わるものをと思っても、実際には時代にマッチしないなど苦労の連続です。だがあきらめてはいません」(道央・建設業)というコメントが、試行錯誤を繰り返しながら経営責任を果たそうとする会員経営者の思いを伝えています。
 そのような中、新事業や新商品づくり、社内体制の見直しで活路を開こうとする次のような取り組み事例も報告されています。
「本業に関連した新規事業を開始。従来の事業との相乗効果が期待できる。オンリーワン商品の大幅増産を行なった」(道東・食品製造業)
「自社企画商品の増強を図った。おかげで他社との差別化が顕著になり、売り上げ、粗利共に2割増となった」(道央・身の回り品卸売業)
「開発した商品が売れるようになってきた。東京に営業所を設け、売り上げ増に結び付けたい」(道央・印刷業)
「経営方針の共有化。社員間コミュニケーションの強化(報・連・相)。社員の健康管理のための福利厚生の充実。毎月1度の社内一日研修の実施。」(道東・建設業)
「人件費削減、担当を固定するのではなく、二足の草鞋を履かせ、各々が現在の経費の中で1.2倍の仕事をする仕組みづくり」(道央・建設業)
 景気が好転する兆しが見えない中で、価格競争がさらに激化し、仕入単価の上昇と相まって、企業の収益を圧迫する気配です。経営指針の確立と社内への浸透を図り、他社にない特徴や強みを持った企業づくりに取り組むことが求められています。
 原材料等の急騰は国民生活にも大きな影響を及ぼしています。国民が安心して暮らせ、中小企業の努力が報われるような経済政策を早急にとってほしいものです。

〈調査要領〉
調査時点 中小企業家同友会全国協議会が2007年の12月5日〜15日に実施した景況調査に合わせておこなった。
調査対象と回答企業 全国では2,269社から806社の回答、北海道は地域・業種を勘案して抽出した600社の会員企業から202社の回答を得た。
平均従業員数(役員含む・パートを除く) 全国40.3人 全道46.5人
※DI値は特に断りのない限り前年同期比。▲はマイナスを示す。

〈経営者の生の声〉
(1)〈道南・漁業資材製造業〉
業態変化を見極め、果敢な対応が功を奏す
 過去、当社の業務形態は問屋より受注し一括納入していたが、近年その形態が変わり、問屋は取次業として在庫削減方向へと転換して行った。数年前より、当社が問屋業務を代行出来る様、小口配送可能態勢を取って来たのが、現在の売上増に繋がる要因となっている。
 また、産・学・官連携により商品化したものに全力を注ぎ込み、当社の太い柱となるよう、営業強化、前年比20%アップを目標にしている。

(2)〈道東・建設業〉
「経営を守る」一心で取り組む新分野への挑戦の成果が徐々に
 製紙工場から排出されるペーパースラッジ灰を産廃から資源活用に当社が総代理店となって取り組んでいる。3年の努力の経過、今年全国で初めて公共工事に採用された。今、北海道でも使用を検討していただいており、国(関東)でも先週仮設材として初使用いただいた。今後の需要拡大が社運を変える影響あり。
 建設業の先行きは、全く暗雲が深まるばかり。いつ抹消されるか予想が付かない。ただ、「社員の生活を守りたい。お世話になっている人々との関係を大切にしたい」の一心で経営を続けている。

(3)〈道央・企画商品卸売業〉
利益率を高めるために、筋肉質体質の企業への転換
 現有する不動産の活用見直し、経営革新支援法を活用した資金繰り・金利面の軽減などの経費削減を進めるが、既存商品の売上減少に歯止めがかからない。利益確保の為には付加価値を高めた商いが必要になっている。
 当社としては、付加価値の高いオリジナル商品の開発、インターネットでの販売の強化等に取組むことで収益構造を変え、利益率を高めている。
 今後は官需から民需への移行をより一層進めることで更なる利益率アップを目指します。

※参考

○第5表 人手の過不足DI、設備の過不足DI

○DOR業況判断DIの推移(全業種、前年同期比)
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